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ルート営業会社が売上を30%アップする営業方法

営業

ルート営業会社が売上をアップするにあたって、最重要強化の部門と言えば営業部です。この営業部を組織的にどのように強化していき、売上を30%アップしていくか、その方法をいくつかの視点から解説していきます。

初回面談の大切さ

初回面談は非常に大事です。それは全ての営業に言えることです。

「御社では新規顧客に対する初回面談をマニュアル化していますか?」

この質問を中小企業の経営者に聞くとほとんどが「ノー」と言います。また、顧客の社員の方々にヒアリングをすると、営業マネージャーは「そんなものなくても、現場で何回もお客様に訪問して会って、と繰り返し回数を重ねれば大丈夫ですよ。」という答えをしてくる方も多くいらっしゃいます。

私はそのような考えを『OJTという名の放置』という表現します。まともに面談もできない営業担当をお客様に回らせることは非常にリスクが高いです。

 

【まともに面談できない営業担当を前にしたお客様視点】

「何でこのまともに話せない知識もない新人を営業に寄越すんだ?時間の無駄だ。」

「こんな営業を送ってくるとはこの会社まともな会社じゃないな。」

 

【OJTという名の放置をされた営業担当視点】

「何回も訪問しろって、何言っていいか分からないし、お客様からは怒られる。」

「ああ、やだ。転職先探そう。」

 

新入社員を教育することに対して熱心でない会社はこういった形になる可能性が高く、リスクだらけと言えます。

初回面談の大事さに戻りましょう。初回面談のあり方で、「お客様と営業の立ち位置」が決定します。

「何でもできます。小さい仕事からでもいいので、任せてください!」一見、いいトークに見えますが、これで仕事をもらったとして、以降、お客様と営業の立ち位置はどうなるでしょうか?

「仕事を発注する人」と「その発注を受ける人」です。

つまり営業の方が立場が下。これでは常に顧客側に主導権を握られている状態になってしまいます。

このような状態にならないためには、初回面談で「この営業はできるな。」「なんとなく信頼できそうだな。」と思わせることが重要です。自社の商品やサービスを売り込んでも、そうは思われません。知識や経験をお客様に見せびらかすことはある意味では重要ですが、大事なのは、「お客様のお悩み(課題)を聞いて、解決してあげれる存在」になれるかどうかです。

ポイントの1つは顧客の「潜在ニーズ」です。自社のアピールよりも、相手の状況をヒアリングし、それに対して提案する、という流れで初回面談を進めないと、「営業の立場が下」という関係性から抜け出すのは難しいでが、そういった営業の仕方は難易度が高いです。

なので営業の勝ちパターンをマニュアル化し、ロールプレイングなどでトレーニングする環境を全社として構築ことが必要になります。スキルアップするためには、個人の能力を伸ばすための教材、教科書、基準づくりをしていきます。

面談を分割する。

まず最初に面談のパートを「分割」していきましょう。

面談は挨拶から始まり、挨拶で終わります。その面談の過程を分割して、それぞれに対してマニュアル化していくことをおススメしてます。

顧客の営業マネージャーからは「面談中は顧客によっては色々と質問されて、あちらこちらに話しが飛ぶからマニュアル化は難しいです。」という声を聞きます。ただ、それは面談の「主導権」を取れていない何よりの証拠です。つまり立場は営業が「下」の状態で、顧客が常に主導権を持っている。もちろん、顧客からの質問には懇切丁寧に答えなければいけませんが、本質的に面談の質を上げていくためにはこちらが主導権を握り、こちらが質問をしてニーズやお悩みを引き出さないといけません。

そのために、初回面談のパートを分割、マニュアル化し、いかに主導権を握れるような流れに面談を持ち込めるかが重要となります。

 

お客様が商品やサービスを購入する時は2つの軸で購入をします。

・論理

・感情

 

論理、これは「買うと何がメリットがあるか」という具体的に得られるものの軸です。

「安い」「手軽」「簡単」「便利」

など、抽象的なものもあれば具体的なものもあります。基本的に、前提としてこれが伝わらないと、お客様は購入しません。つまり大前提の条件ということです。

もう一つの「感情」。これは「なぜあなたから買うのか」という理由です。論理という「メリット」で圧倒的に商品サービスに魅了されれば、お客様は誰からだろうと買います。ただ、そのような商品サービスはめったにありません。

そのような時に差が出るのが、感情の部分。つまり「あなたから買いたい」と思わせる、ということです。

「おまえという人間を売り込め」

「仲良くなって来い」

商品・サービスが溢れていない時代はこういった昔ながらのマネジメントでも間違ってませんでした。しかし商品・サービスが溢れている現在においては論理と感情、どちらもないと売れません。

とはいえお客様に気に入られる、というのはなかなか難しいです。

トップセールスほど聞く

私は色々なトップセールスを見てきましたが、トップセールスほど話しません。聞きます。そして、何と言っても「共感力」が凄いです。お客様の立場に立って、「そうなんですね。」「大変ですね」「いいですね!」と、共感するのです。

先日、とある出版社から出版の誘いがありました。話しは聞こうと面談したのですが、面談冒頭から30分間、自社や自社サービス(出版の仕方、流れ、メリット、などなど)を話し続けられました。

私もいくつか出版のお誘いはいただいていますので、おおむね出版業界の構造や流れは知っています。しかし、その営業担当はそういった相手の状況(知識)などを確認することもなく延々と話し続けました。

あなたならこのような営業担当からサービスを購入したいと思うでしょうか。

人は人の話しを聞きません。でも人は話すことが好きな人が多いです。その話しに共感してくれる人が目の前にいたら、同じような商品サービスを売っている2社のどちらから買うでしょうか?

もちろん、共感するだけではありません。自分のことを伝えたり、時には反論じみたことを言ったり(正当性)様々な感情の波を超えて、お客様の感情を掴むことが重要です。

御用聞き営業

私の顧客にはルートセールス業が多いのですが、この営業が下の立場にいる状態を「御用聞き営業」と称しています。

はじめに断っておきますが、御用聞き営業が悪いわけではありません。お客様のご要望をお聞きし、それに対して商品やサービスを提供する、という基本的な営業スタイルです。私は研修やコンサルティングでよく例えとして言っていますが「サザエさん」に出てくる「ミカワヤのサブちゃん」が正にそれです。

「ちわー!ミカワヤでーす。サザエさん、何かありますかー?」

平たく言うと、このような形。

ルートセールスと言われる商売をしている会社の営業担当に、非常に多く見られる営業スタイルです。御用聞き営業をしていても、目標の売上をしっかりと上げていればOKですが、問題は、御用聞き営業をしている営業が、「目標の売上が達成できない」また「売上が伸び悩んでいる」場合です。

この問題を解決して、売上を上げることは簡単ではありませんし、時間もかかります。しかし、やらなければいけない鉄則があり、それを粘り強く実行し続ければ売上を上げることができます。

私がコンサルティングをしてきた顧客から事例をご紹介しながらお伝えしていきましょう。

御用聞き営業のスタイルで売上が伸びない原因

御用聞き営業は「待ちの営業」です。そうではない人もいるかもしれませんが、一般的に御用聞き営業は「顧客が欲しいと思ったものを、顧客自らから言ってくれる」商品・サービスを提供する営業スタイルです。

悪くありませんが、更に売上を上げるためには営業スタイルを変えなければいけません。

ここからは営業界ではよく知られる「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の話しをしていきます。

「顧客が欲しいと思ったものを、顧客自らから言ってくれる」これは顕在ニーズです。

ルートセールス業界では、基本的に継続したお取引をする顧客がほとんどなので、営業と顧客にはある程度の関係性ができています。そういった場合、顧客は「この営業は○○の商品・サービスを売っている人」という認識なので、自分がその商品・サービスが欲しい場合、その営業に言います。

「顧客が欲しいと思ったものを、顧客自らから言ってくれる」まさに顕在ニーズです。

しかし、顕在ニーズには大きな危険性もはらんでいます。それは、御社の競合会社が営業がきた場合でも、同じようにその言葉を発するのです。どういうことかと言うと、先ほど、顧客目線では「この営業は○○の商品・サービスを売っている人」という認識とお伝えしました。

もちろん関係性が浅い深いの違いでも大きく変わりますが、同じ商品・サービスを扱っていて、しかも自社より競合会社の方が品質が良かったり、価格が安かったり、対応が早かったりした場合、間違いなく顧客の担当者や決裁者は競合を選びます。

顕在ニーズだけを掴んで、顧客と関係性を継続することはそういったリスクも出てきます。

その場合、悪循環となるのが競合に負けないように「価格競争」になることです。その悪循環が売上の停滞を招いていきます。これはBtoCの商売かBtoBの商売でも違ってきますので一概には言えませんが、どちらかというとBtoBのルートセールス業界の方がこの危険度は高いです。

会社は利益追求が最大目的です。これは儲けるという意味ではなく、会社・事業を継続していく上で最低限の、という意味です。であれば、個人の関係性より、合理的な判断が優先される場合が多いです。

BtoC、つまり個人の場合、例えば前項でもお伝えしたサブちゃんのような商売は、アニメを見る限りサザエさんとの関係性はガッチリ良好。他の競合が入ってきても、「ウチはミカワヤさんと付き合いがあるから」ということで一蹴される場合が多いでしょう。

それが法人相手と個人相手の違いになってきます。それでは、そうならないためにはどのようなことが必要か。

潜在ニーズ

もう前述しているのでお分かりだと思いますが、「潜在ニーズ」です。潜在ニーズとは、「顧客が潜在的に抱えているニーズ」のことです。これは、普段思っているけど顕在化されていないニーズで、営業から質問をして聞き出さなければ、顧客が自らは言ってくれないニーズです。

サザエさんのサブちゃんの日常の会話例です。

サブちゃん「ちわー!サザエさん、何かありませんかー?」

サザエさん「ああ、サブちゃん。ちょうどいい所に来たわ。醤油とみりんをお願い。(顕在ニーズ)」

サブちゃん「いつもありがとうございます!」

これが普段のサブちゃんの御用聞き営業です。残念ながらこれでは潜在ニーズは聞けていません。「何かないか?」という質問にサザエさんが欲しいものを答えただけです。では、サブちゃんが潜在ニーズを聞けるような営業をした場合を見てみましょう。

サブちゃん「ちわー!サザエさん、何かありませんかー?」

サザエさん「ああ、サブちゃん。ちょうどいい所に来たわ。醤油とみりんをお願い。(顕在ニーズ)」

サブちゃん「いつもありがとうございます! ところでサザエさん。」

サザエさん「なあにサブちゃん?」

サブちゃん「最近、寒いですよね。お肌の乾燥が気になったりしませんか?」

サザエさん「そうね。この時期は乾燥してお肌の手入れが大変なのよ。(潜在ニーズ)」

サブちゃん「やっぱりそうなんですね。ぼくは男なんで気になりませんが、女性は大変ですよね。」

サザエさん「そうねー。」

サブちゃん「ぼくのお得意先の奥様方もみんな悩まれていて、だからこれをおススメしてるんです。」

サザエさん「なにそれ?」

サブちゃん「塩麹といって、これに豚肉を一晩漬けて、翌朝食べるとお肌プルプルになるみたいですよ。みなさん喜んでます。」

サザエさん「そうなの?じゃあそれもちょうだい。」

いかがでしょうか。ちなみに、塩麹の効能に関しては架空の設定ですのでご容赦ください。

このやりとりでお分かりの通りだと思いますが、潜在ニーズによって新たな商品を売ることができました。潜在ニーズは顧客から能動的に発するニーズではありません。なぜなら、上記の例のように顧客から見た時に「この営業はこのニーズとは関係ないものを売っている」と見られるからです。

サブちゃんが売っているものは酒類や食料などです。サザエさんから見た時、サブちゃんは「お肌の悩みを解決してくれるものを売っている」と思っていないので、潜在ニーズ(肌の乾燥を何とかしたい)を言わないのです。それを塩麹という手段でサザエさんの潜在ニーズを掴むことができました。

新たな商品を売る(アップセル)ができたことはもちろんですが、こういった「ただ自分が欲しいと思ったものを販売する人」から「自分に悩みを解決してくれる人」になることで競合会社が入る余地をなくし、価格競争→売上停滞の悪循環に陥る可能性は低くなります。

ルートセールス業界でトップの成績を出している営業は皆やっているスタイルです。私の顧客では、この例え話を営業研修で実施した際、それだけでピンときて、半年後には社内で一気にトップセールスに昇りつめた社員もいます。潜在ニーズの掴みがいかに重要か、ということです。

営業マインドの切り替え

同じ顧客に何度も買ってもらう商売の「ルート営業スタイル」である会社の場合、販売している商品・サービスによっても異なりますが、取引額の大きい顧客にも、取引額の小さい顧客にもそれなりの「時間」が必要です。

色々な調査でよく言われることですが、営業担当が一日で純粋な営業活動をしているのは約20%程度と言われています。一日8時間だとしたら1時間40分ぐらいです。そして、日本では営業担当が事務作業に使う時間はアメリカの2倍と言われています。

単純な話しをすれば、営業活動時間を増やせば当然営業成果も多くなります。ただ、会社の組織体制の都合上、いきなり営業活動だけに集中する時間を2倍にできるところはあまりありません。そのような会社が多い中で、何が現実的な方法かというと顧客に対する時間の使い分けです。

先ほど、取引額が大きい顧客にも小さい顧客にもそれなりの時間を使う、と言いました。当然、現状の売上高が大きい所には時間を多く使いますし、小さい所はそこそこかもしれません。ここで言う、顧客に対する時間の使い分けというのは、現状の取引高で顧客に使う時間を決めるのではなく、未来の予想取引高で顧客に使う時間を決めるということです。

「この顧客は、現状の取引高は○○だが、将来的には○○ぐらいまでになりそうだ。」という観点で改めて顧客を分析してみてください。今の売上ではなく、将来的に取引高を大きく伸ばしそうな顧客に対して、今より集中して営業時間をかければ、必ず売上は伸びます。これだけのマインドで売上がすぐに伸びる会社も珍しくありません。

私の顧客にビルダーに対して住宅用資材を販売している商社があります。そこに対して、今申し上げたような施策を提案し、実行までをサポートした所、3ヶ月で月の売上が1.5倍になった営業担当が2人出ました。その営業担当2名は、現状の取引高の大きい顧客に集中していた営業時間を、将来顧客へ徐々に時間配分していったのです。

このようにすぐに成果は出ますが、顧客の分析を徹底的にしなければいけません。当然、ホームページや無料でとれる顧客情報は全てとった上で、ある程度顧客の担当者と仲良くなったらヒアリングをしながら伸びる要素を見極めます。

上記の営業担当の例では、この分析の際、今取引高が高い顧客は、今後伸びても数%だな、ということが分かったので将来顧客への時間配分を考えたのです。マインドを切り替えて、すぐにできることを実行することで意外とあっさり成果が出ます。

「キーパーソン」との関係性

キーパーソンとの関係性は御用聞き営業から脱却し、売上アップを目指す上でとても重要なものです。

よくルート営業業界の顧客で、営業担当者にお話しを聞くと「キーパーソンは○○課長です。○○課長が決裁権を持っていて、発注権限ありますから。」という声を聞きます。ただ、今後更に取引高を拡大したい顧客に対しては、これより一段階キーパーソンとの関係性を強化していく必要があります。

そもそもキーパーソンは一人だけでしょうか?

もちろん、決裁者と担当窓口が同一人物であればその人だけでOKです。しかし、顧客の事情も変わる場合があります。

決裁フロー(役員会へ、等)が変わったら?

キーパーソンが異動・退社したら?

また、前項で述べた情報収集。会社の情報というのは、その人固有の「主観」を交えたものになることが多いです。会社内の様々な立場の人から見た聞いた情報の方が当然情報の精度が高まります。

私の顧客には、以下4つのキーパーソンと関係性を築くようにお伝えしています。

 

1.決裁者

2.発注窓口担当者

3.決裁者の上司

4.スパイ

 

1~3は上記でもお伝えしたように、顧客の状況が変わっても常に対応できるように、網羅性のあるキーパーソンと関係性を築きましょう。

ここでのポイントは、4.スパイ。

表現は悪いですが、このスパイの意味は「自社に対して、顧客の会社の内部情報を教えてくれる顧客の社員」です。顧客の社員の中でも、一般社員である場合が多いです。そういった情報を教えてくれる社員と関係性を築くことで、役付き社員が教えてくれる情報とは違った情報を手に入れることができます。

ネットで様々な情報が得れる時代になりましたが、会社の絶対的な情報までは晒すことはできません。生きた新鮮な情報をタイムリーに得れることでこちらの対応や立ち回りのスピードと正確性が全く違ってきます。

当社でいう「御用聞き営業」とは、そういった部分も含めて表現しています。表面上の単一のキーパーソンのみと関係性を築き、そのキーパーソンの言われた通りの仕事をする。これは悪いことではありませんが、売上を上げ続ける営業になれるのは難しいです。

キーパーソンに対してしっかりと潜在ニーズを聞き出すことができ、それを解決してくれる存在になることができれば、キーパーソンから見たあなたは、「○○(あなたの名前・もしくは会社名)さんは、○○(商品・サービスカテゴリ)屋さん」という認識から「○○(あなたの名前)さんは、自分の悩みを解決してくれる信頼できる人」のような存在に近づくことができます。

 

では、キーパーソンから潜在ニーズをヒアリングするにはどのようにすれば良いでしょうか。

「御社の潜在ニーズを教えてください!」・・・では間違いなく聞けません。そもそも潜在的なお悩みや要望なので、ストレートに聞いても相手は「?」という感じになってしまいます。

当社でおススメしているのは、「投げかけの質問」です。顧客が潜在的に悩んでいるであろう事を、先回りして質問していきます。でも、「○○でお悩みですか!?」というストレートな聞き方でも不十分です。

 

また、サザエさんとサブちゃんの会話例でお伝えしていきます。

「サザエさん、近頃寒くなってきましたね。」

「そうね。」

「空気も乾燥しているんで、火の元に気をつけてくださいよ。」

「そうね。気をつけるわ。」

「乾燥と言えば、ぼくは男なのであんまり気にしないんですが、近所の奥さん方はこうも乾燥しているとお肌の乾燥が気になるみたいですね。」

「やっぱりそうなの?」

「やっぱりって、サザエさんでも気になるんですか?」

「そりゃ気になるわよ。この時期は大変だもの。」

「それは大変ですね~。それであれば・・・(塩麹のくだりへ)」

少し都合の良いように感じる部分もあるかもしれませんが、「会話の流れ」としていくつかのポイントがあります。

まず1つは、今表現したように「会話の流れ」でさりげなく聞くこと。2つ目は、ストレートにお悩みを聞くのではなく、当たり障りない内容で顧客に「YES」を言わせること。※営業話法で有名な「イエス・セット法」です。3つ目は、「周囲もそうだから」という表現でヒアリングすること。

日本人は特に集団帰属が高い人種と言われています。「近所の皆さんが」とか「あなたのご年齢ぐらいの方々はみんな」とか「御社の競合では」、など自分だけではなく、周りもそうだという事で安心感が芽生えます。

そういったポイントを抑えて「自然に会話の中で」潜在ニーズが聞けるとプレゼンにも「売り込み感」が感じられなくなります。ヒアリングの聞き方一つでその後のプレゼンにも影響してくるので、潜在ニーズのヒアリングはとても重要です。

どのようなマニュアルが必要か?

ヒアリングは顧客相手であり、顧客も人間です。つまりヒアリングは「生き物」なので、マニュアルが本当にできるか?という疑問をもたれる方も多くいました。しかし、ピンポイントの情報として欲しい潜在ニーズに焦点を絞ればマニュアル作成もそれほど難しくはありません。

手順は以下をおススメしています。

 

1.顧客が抱えている「ありがちな問題」を考えられる限り全て洗い出す

2.そのありがちな問題の中で、自社が解決できる問題を考える

3.その絞った問題に対して、「その問題は顧客がどのような状況にある場合、起こりえるか」を全て洗い出す

4.その状況を聞く質問の仕方を考える

 

顧客の現在の状況を、会話の流れで何気なく聞いていきます。そしていくつかの状況がばっちりと「ありがちな問題にいる状況」にハマった場合、「そういった状況だと○○でお悩みだという顧客がいたんですよ~」のような形でさりげなく顧客自身に潜在ニーズに「気づいてもらう」。

こういった流れをつくるために、上記のような手順でマニュアルを作りロールプレイングで徹底的に練習することで、新人でも潜在ニーズをヒアリングできる力が習得できるようになります。

当社の顧客で建設業の顧客がいますが、このマニュアルを作成して練習と実行を繰り返したことにより、ターゲット顧客との関係性をより一層深めることに成功し、ターゲット顧客との取引額を2.5倍に増やした、という事例もあります。

 

営業ロールプレイングの重要性

皆さんの会社ではロールプレイングを実施しているでしょうか?

私の顧客も千差万別ですが、毎朝10分必ず実施する会社もあれば、隔週に1回程度で実施する会社もあります。中には、「ロープレなんてしてる時間があったら、1社でも多くのお客に会って来い」というリアル現場主義の営業部長も多くいます。しかし、それは先述しているように、相対しているお客様に失礼なことになってしまいます。

そして、一度の面談はそれ以降の印象を大きく左右します。最初の面談で「下手こいたら」次はもうない時代です。だからこそ、本番に至るまでの練習が必要です。

スキルを最も効率よく習得できるのがロールプレイングです。特に面談の肝であるヒアリングは生き物。お客様が何を言ってくるか予測ができにくい状態では、天才的な営業を除けば切り返しに四苦八苦します。その四苦八苦(もっと言うとしどろもどろ)の様子は、見込み顧客にますますの不信感を与えます。

知識、そして自信がない営業に限って焦りや狼狽がお客様に伝わります。逆に、知識や自信があればそんなことはありません。しかし、知識や自信は、概ね経験と時間から醸成されるものです。それを補うのがロールプレイングです。

普段から様々なお客様を想定してロールプレイングを繰り返すことにより必要な知識だけを充足でき、かつクリアできれば自信がつきます。

面白いもので、面談(ヒアリング)は生き物ですが、知識や自信があれば、こちらでコントロールできます。先述したようなヒアリングマニュアルを基に、疑似体験(ロールプレイング)を繰り返し行うことで成果が全く違うものになってきます。

営業のPDCA

面談の「スキル」という面についての一部分は、これまでお話しさせていただいた通りです。もちろん、これだけでは成果に繋がることは難しいかもしれません。(たまにコツを掴んで覚醒した社員が思いっきり売上を伸ばすこともありますが)

ルート営業を生業とする会社にとって、営業面で重要なもう一つのポイントが「マネジメント」です。顧客の潜在ニーズを掴んだ。顧客との関係性を深められた。そのような顧客に対して、「次の一手」を適切に打てるかどうか、がとても大事です。

これを、日々チェックせずに営業担当任せにした場合、どういったことが起こるでしょうか?もちろん、優秀な営業担当であれば適切で効果的な「次の一手」を打てるかもしれません。

もっと遡ると、営業担当が聞いてきた(聞いたと思っている)ニーズは本当に潜在ニーズなのか?という疑いも出てくるかもしれません。これらを全てチェックし、日々のPDCAを回していくことが非常に重要です。

私がお手伝いする会社のほとんどは、マネージャーがプレイングマネージャーです。自分でも売らなければいけないのに、社員一人ひとりの顧客の管理までできないという声も多くいただきます。確かに、時間が有限である以上、またその人が一人しかいない以上、現実的に無理な場合もあるかもしれません。

当社の顧客の話です。

その顧客に関しては、ルートセールス業で、マネージャーはもちろんプレイングマネージャー。上記のような取り組みを行おうと提案した際にも、今のような言葉が出てきました。

ようやく「工夫をしてまずはそれをやろう」と渋々始めることになりましたが、始めてみて成果が出始めるようになると、能動的に継続するようになりました。当然ですが、人は「これがいい」と体感したものは絶対に続けます。それだけ日々のPDCAは重要です。

そのマネージャーは、ご自身で年間4,000万円の粗利益を作りながら、年間1,500~2,500万円の粗利益を稼げるような部下を3人育て上げました。

現在は次のステップに進んでいて、自身で売ることはほとんどなく、自身含めて4人チームで、年間1億の粗利益を作る組織をつくり上げています。一人が売れる額の限度はありますが、何人も売れる人材を育てて管理した方が何倍も成果を生み出します。

まとめ

以上のような形で、ルート営業会社が売上を30%アップする営業方法をいくつかの視点から解説していきました。

ほんの少しの意識とスキルの違いだけで成果は変わりますので、ぜひピンときたものは自社に導入してみてください。

 

WITH株式会社

 

 

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2020年 5月 25日 発売

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著者情報
佐々木 啓治 / WITH株式会社 代表取締役

日本で唯一の「年商30億円の壁」超えに特化したコンサルタント。

これまでサポートしてきた企業の徹底的な分析を行い、年商10億円で数年間停滞している企業が年商30億円を超えるためのノウハウを独自開発。

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