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マネージャーを育成するための5つのステップ

人事評価制度

「マネージャーがなかなか育たないから、何かマネージャーを教育できるような研修をしてくれませんか?」という依頼をよく頂きます。「マネージャーが育たない。」という経営者のお悩みは非常に多いです。そのようなお悩みがあれば、当然「研修」という手段でマネージャーを育成する、教育していくという発想は自然なものだと思います。

しかし、マネージャーに対して1回、2回と外部の育成研修を実施しても、マネージャーが急激に育つということはほとんどありません。

マネージャーの役割は「マネジメントをすること」です。マネジメント力は、日常の業務や部下とのコミュニケーションによって徐々に上がっていきます。
外部研修によるマネージャーに必要な一般的な教養やスキルももちろん重要ですが、それらは会社ごとのビジネスモデルや組織体制、風土によって応用できるものとできないものが必ず存在します。

マネージャーを育成し、マネジメント力を上げていくためには、自社に適応したマネジメントスタイルでマネージャーを教育する必要があります。

マネージャーのレベル感

「マネージャーを育成したい」と一口に言っても、そのマネージャーがどのレベルで、どのレベルまでを求めるかによって必要な考え方やスキルが変わります。一般的にマネージャーには大きく分けて3つのレベルが存在します。

1.ロワーマネジメント

最も現場に近い、例えば一般的な役職や名称で言うと「係長」「主任」「プロジェクトリーダー」「チームリーダー」などが担うマネジメントがロワーマネジメントです。このレベルのマネージャーは、実際に手を動かす社員を実質的に取りまとめる役割を担うため、ほとんどが「プレイングマネージャー」です。

つまり、自分の業務範囲を実行しながらプロジェクトの進捗を確認し、トラブルが発生した場合は即座に上長に連絡・相談する、という役割がミッションです。ミドルマネジメントのもとで決定された具体的な目標に対して、現場の人材と予算でどのように達成するのかを考えていきます。

ロワーマネジメントのマネージャーは、チームメンバーや部下のモチベーションの管理、また動機づけ、場合によってはフォローやフィードバックをします。

2.ミドルマネジメント

ミドルマネジメントは、一般的に「中間管理職」と呼ばれるマネジメントです。一般的な役職名としては「部長」「課長」などで、トップマネジメントで決定された全社的な目標と方針を理解したうえで、それを現実的にどのようにして現場に落としこんでいくかを考え実行する役割を担います。

現場で実際に仕事をするプレイヤーと、全社的なマネジメント両方が必要なレベルです。

3.トップマネジメント

トップマネジメントとは、会社経営陣や組織の運営トップが行うマネジメントを指します。トップマネジメントは、一般的役職名では「経営者「取締役」「執行役員」などで、組織を動かす骨組みとなるものです。

会社全体の方針・目標を決定した上で、その目標を達成するために最適なリソース配分を行い、ミドルマネジメントへ落とし込んでいく役割です。

マネージャーを育成する「マネジメントの仕組み」

マネージャーを育成するためには、日常の業務の中で研鑽を積んでいく必要がありますが、個々の性格や考え方でマネジメントの仕方に違いが起こると、部下育成にバラつきが出ます。

また間違った方向性でマネジメントしてしまうと、当然本人のスキルアップにならないどころか、組織がめちゃくちゃになることもありえます。
マネージャーを育成するためには「マネジメントの仕組み」が必要です。

仕組みをつくり、それに則った形でマネジメントを行っていくことで、正しくバラつきのないマネジメントが可能になり、効果的なマネージャー育成が可能になります。

マネジメントの仕組みには色々なものがあります。例えば営業管理の観点におけばSF(セールスフォース)という仕組みがありますし、「毎朝15分会議を行う」もマネジメントの仕組みと言えるでしょう。しかし、そういった仕組みは社員からすると基本的に「やらされている感」が非常に高い仕組みです。

マネジメントすべき2つの要素

マネージャーが部下を育成する際に、マネジメントすべき要素は大きく分けて2つあると言えます。

1.業務スキルアップ
2.主体性アップ(やる気・モチベーション)

業務スキルアップについては、本人の自助努力も前提としてありながら、上司からすると「教えやすい」要素ではないかと思いますが、自発性に関してはかなりマネジメントが難しい要素と言えます。
上記のような仕組みは「やらされ感」があるため、スキルアップに向けた前提の気持ち、主体性が低いと言えるでしょう。主体性が低ければ、取り組みの意識も低く、結果的にスキルアップや生産性、結果に結びつかない場合が多いです。

まずはこの主体性をいかにして引き出すか、がマネージャー育成のポイントになります。

動機付けの2種類

マネージャーが部下をマネジメントしていく上で重要な要素である主体性の引き出し。この主体性は言い換えると「動機付け」になります。
動機付けには2つの種類があります。

1.外発的動機付け
2.内発的動機付け

動機付けの順番を当社ではこのように考えています。

人により、内発的動機付けのレベル感や勘所は違います。最初から内発的動機付けで上げていこうとすると失敗する可能性が高いです。まずは外発的動機付けにより、「それをやった方が良い」と思えるようなメリットを提示しましょう。

会社や上司に指示されることというのは、基本的に「しなければいけない」というレベルの仕事意識になりがちです。その状態では高いモチベーションをもって仕事できず、生産性や成果が上がりにくい仕事意識と言えるでしょう。

そうならないために、まずは「それをやるとメリットがある」と思ってもらうことで、半ば強引にでも動機付けを外発的に与えることがスタートです。
そうして動機付けをした結果、部下も生産性が上がったり、結果が出るようになり、自分のためになる、と思ったら継続して自発性高く仕事に取り組むようになります。

このサイクルが回ると、自然に本人の中で内発的な動機付けが高まっていき、好循環となります。このサイクルを以下に回すかがマネージャーが部下を育成するポイントと言えるでしょう。

外発的動機付けのツールとしての人事評価制度

外発的動機付けのツールとして、どのような形態の会社にでも有効なものが人事評価制度です。
人事評価制度をしっかりと作りこめばシンプルに、「どういった役割をこなし、どういった成果を出すことができれば、どうなれるか」が社員に可視化できるようになります。社員が「それをやるとメリットがある」という風に思ってもらえるような外発的動機付けをすることが必要です。

マネージャーを育成するための「マネジメントの仕組み」としての人事評価制度

マネージャーを育成するための人事評価制度の作り方に関しては、「失敗しない」人事評価制度の作り方をご覧いただければと思いますが、
人事評価制度を構築するだけではマネージャー育成にはなりません。マネージャーを育成するためには、人事評価制度の運用の仕方にポイントがあります。

ありがちな人事評価制度の運用の仕方としては、例えば半期毎に評価期間を設ける場合、期初に目標を設定し、半期末にその目標に対して上司が部下を評価する、という流れが一般的です。

その場合に何が起こるかというと、半期末に上司が部下を評価しようとする際、「〇〇君の目標は何だっけ?」という上司の言葉からスタートします。
上司が部下の目標を常に理解していない、という状態になります。部下からするとその言葉を聞いた途端、その上司、マネージャーに対して信頼を失います。

人事評価制度をマネージャーを育成するための「マネジメントの仕組み」として運用するためには、このような事態を防ぎ、以下のような5つのステップで運用することをおススメしています。

マネージャーを育成する人事評価制度運用の5つのステップ

【1】上司(マネージャー)と部下で目標を「握る」

半期なら半期、通年であれば通年で上司と部下が目標設定の面談をして、目標を「握る」ことが最初のステップです。「握る」というのは上司部下間の「約束」コミットメントです。

マネージャーから与えられただけの目標では、部下としては「やらされ感」がありますので、その目標に対する「握り」が弱くなります。その結果、その目標に対する認識も双方甘くなり、目標達成に向けた行動が弱くなる、という悪循環に陥ります。

そうならないために、上司部下間でしっかりと面談を行い、お互いの意思疎通のもと目標設定を行うことで目標を握ります。

【2】目標に対するマイルストーンを設定する

例えば4月~9月の半期評価でサイクルする場合、9月末時点での目標達成度はもちろん設定しますが、9月末時点に至るまでの定点目標もしっかりと設定する必要があります。この定点目標がマイルストーンです。

4月からスタートし、4月末時点での達成度、5月末時点での達成度、6月時点での・・・といった形で、なるべく毎月ベースで目標達成に向けたマイルストーンを設定しましょう。
後述しますが、これはマネージャーを育成するための「マネジメントの仕組み」としての人事評価制度運用の肝になります。

マイルストーンはなるべくその目標達成度が「可視化」できる設定の表現にしましょう。分かりやすいのは数字ですが、スキルやアウトプットでもいいでしょう。

【3】マイルストーンに対する行動目標を設定する

行動しなくては結果が出ませんので、それぞれのマイルストーンに対しての行動目標を設定しましょう。この行動については、9月末の目標達成から逆算した形で設定する必要があります。

「この行動をすれば、この目標が達成できる」と、上司であるマネージャーと部下がそれぞれ目標達成が「視える」ような行動目標にします。
ここが明確に視えないとどれだけ行動しても成果は出にくいので、上司部下間でしっかりと作りこみましょう。

【4】月に一度、上司部下間でPDCAを回す面談の実施

マイルストーンとそれに対する行動目標に対して、進捗を確認するPDCAを回しましょう。上司部下間で1on1の面談を実施し、月ごとのマイルストーンの達成状況と行動内容の振り返りをします。

達成できている場合は大いに称賛し、達成できていない場合はどのようにすれば達成できるかを、上司と部下がそれぞれ考えていきます。このサイクルを毎月回すことで、上司がマネージャーとしての能力を圧倒的に伸ばすことができます。

また、毎月このPDCA面談を実施すると、上司も部下も期初に設定した目標を忘れることはありません。上司としてもマネジメント力が上がり、部下から見ても「いつも向き合ってくれている」と感じるため、スキル的な部分と情動的な面、両面でマネジメントが機能し始めます。

【5】月に一度、上司とその上司間でPDCAを回すミーティングの実施

上司部下間だけではなく、更にその上司をマネジメントする必要があります。分かりやすい例で言えば、企業の階層でいうマネジメントを実施する課長職を全員集め、社長、役員、部長含めた上席がPDCAを回します。

そのミーティングの観点の1つは「課長、マネージャーが誤ったマネジメントをしていないか」です。【4】を実施するだけではなく、その面談でマネージャーが部下に指示した内容が目標達成とマネジメントの観点で正しいかどうかを確認していきます。

そのことにより、もし誤ったマネジメント方法、もしくは更に良いマネジメント方法があれば、上席からマネージャーへ伝える、ということをしましょう。

そのスキルの全体共有が他のマネージャーのノウハウにも伝わります。さらに他のマネージャーの発表でマネジメントの方法として素晴らしい手法があった場合は、それも全社展開できる場となります。

こういった形で「個」だけではなく、「会社」「組織」としてのマネジメント力を高める必要があります。

【※】マネージャーがマネジメントにおける原理原則を習得する

人事評価制度をマネージャーを育成するための「マネジメントの仕組み」として運用するステップにはあえて加えませんが、マネージャーがマネジメントにおける原理原則を習得する、ということも大事です。

基本的には日常の実務の中で人事評価制度を運用することがマネージャーを育成する近道ではありますが、マネジメントする上での原理原則を知ることで、よりマネジメント力が上がるスピードと確実性が増します。

マネジメントにおける原理原則は、

・コミュニケーション
・ティーチング
・コーチング
・モチベーション
・数値管理
・考課者スキル

など、これ以外にも複数の要素がありますが、こういったカテゴリの原理原則をぜひ習得することをおススメしています。

以上、「マネージャーを育成する人事評価制度運用の5つのステップ」を取り組むことで、自社のマネジメント力を上げていきましょう。

 

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著者情報
佐々木 啓治 / WITH株式会社 代表取締役

日本で唯一の「年商30億円の壁」超えに特化したコンサルタント。

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